シリーズ唯一の海外ラウンドである第7戦タイにおいて、惜しくもリタイアに終わってしまったSUBARU BRZ GT300(井口卓人/山内英輝)。難しいコンディションでのタイヤ選択も的中し、スタート直後にはひとつ順位を上げることができたほか、ドライタイヤに交換した後もトップと変わらないペースを刻み、周回するたびにポジションを上げていきました。燃費やタイヤライフなどの制約で2回ピットに入らなければならないという不利はあったものの、新たに投入した仕様でひとつの手応えを得たことは確かです。
今回の第7戦は週末を通じて天候が目まぐるしく変動した1戦でした。ウェットからドライ、そしてまたウェットへ。刻一刻と変わるコンディションのなかでも手応えを得られたことは、今後に向けてひとつ大きなステップと言えるでしょう。そのSUBARU BRZ GT300の足元を支えているのがダンロップタイヤです。チームのタイヤエンジニアを務める石橋隆志(住友ゴム工業株式会社モータースポーツ部)に、SUBARU BRZ GT300の進化について話を聞きました。
トランスアクスル化の効果は大きかった
2016年型と比べ、トランスアクスルの採用などで大きく進化を果たした2017年型のSUBARU BRZ GT300。タイヤ側から見た強みについて石橋は、「もともとSUBARU BRZ GT300は、FIA GT3車両と比べると車重が200kg近く軽いので、タイヤには優しいクルマなのですが、2017年型はさらにその長所が活かされています。それでいてタイヤのポテンシャルをきちんと引き出していただいていると思います。トランスアクスルが導入されたことで、リヤタイヤに荷重が乗り、トラクションがかかるようになった。この効果はかなり大きいと思います。タイヤが無駄に空転するようなことがなくなっています」と評します。
また、「タイでの手応えは、ウェットもドライも悪くなかったと思います。スタート直前のスコールで路面が冷やされてしまったのは予想外でしたが(笑)、感触としては悪くありませんでした。SUBARU BRZ GT300はタイヤに優しくなった分、より攻めたタイヤを装着することができます。以前は1スティントもたなかったものを入れられるようになったり、メリットは大きいですね。もちろん我々も改良を続けており、昨年の仕様よりも良いタイヤを投入しているので、伸び代はまだあるなと思っています」とのこと。
ツインリンクもてぎでの最終戦に向けて
タイヤに優しいということは、その一方で温まりに時間を要するということでもあります。その点では、涼しい秋の開催となるツインリンクもてぎでの最終戦をどう見ているのでしょうか。
「最終戦のツインリンクもてぎでは、夏用から冬用にタイヤが変わります。寒い路面でのデータは、各タイヤメーカーとも今年のオフシーズンテストのものしかありませんから、そのデータをベースにどう応用を利かせていくかがカギになります。どのタイヤメーカーも、最適な温度をいかにして引き出すかがポイントになるのではと思います。それでも、ほかのFIA GT3車両などと比べて、ソフト側のタイヤが使える強みがSUBARU BRZ GT300にはあります」
最後に、いよいよひと月後に控えた最終戦に向けての意気込みを聞きました。
「長いコーナーが少ないサーキットなので、マシン的には辛い部分もあるかと思いますが、今年の感触ですとけっこういい戦いができるのではと考えています。最終戦に持ち込むタイヤを決定するのは11月の初旬です。天候や気温の変化をよく見定めて、攻めたタイヤを投入しますので、応援のほどよろしくお願いいたします」
SUBARU BRZ GT300のコーナリング性能をさらなる高みに引き上げるダンロップタイヤ。最終戦での戦いぶりに、ぜひご注目下さい。