今回のレースは、マシンの出来自体が悪くなかっただけに、実に悔しいレースとなってしまいました。レース後のミーティングでも、ドライバーふたりのコメントはポジティブでした。ドライブフィールは悪くないということなので、まあまあのマシンに仕上がっていたのだと思います。開発の意図が間違っていないことは確認できましたし、今後の方向性もつかめたと言っていいでしょう。
SUBARU BRZ GT300の勝負どころはブレーキングとコーナリング
週末を振り返ると、やはりもう少し走り込みをしたいところですね。土曜日午前中の公式練習では山内がスピンを喫し、ウォールに接触してしまいました。映像を見る限りでは、それほどひどい衝撃はないように見えましたが、アライメントがうまくとれずに苦戦しましたし、ステアリングギヤボックスを交換することになりました。やはりコンクリートは固かったということでしょう。
そんなこともあって、予選ではある程度タイヤを決め打ちで行きましたが、Q1セッションに出走した山内はけっこう苦戦を強いられてしまいました。アンダーステア傾向で走りづらかったことに加えて、赤旗中断のタイミングが良くなかったですね。もちろんレースですからそういうことはありますが、なんとか13番手で通過してくれました。Q2セッションまでの間にアンダーステアを解消すべく、サスペンションの仕様を修正し、井口は6番手タイムでまとめてくれました。
結局のところ走り込みが十分ではないので、このセットをベースに燃料搭載量なども考慮に入れた決勝レース向けのセッティングを決めました。方向性は決まっていたので、スタート後のペースも良く、クルマも速かった。前を行くFIA GT3車両を2台オーバーテイクしています。いずれもブレーキング勝負で間合いを詰めての追い抜きでしたが、それがSUBARU BRZ GT300の勝負どころと言えるでしょう。
トラブルの原因を洗い出し、次戦富士では優勝を狙います
その後もいい流れをキープできていたのですが、そこで問題が起き始めました。電気系トラブルのアラートが出てしまったので、使用電力をなるべく減らす対策をしながらの走りをせざるを得ませんでした。ただ、それでもタイムはキープできていたのですが、今度はタイヤに振動が出てしまったのです。原因はピックアップでした。全力で走ることができればピックアップは取れることも多いのですが、パワーを落としていたのでそこまでの走りはできない。ギリギリまで我慢してもらってドライバー交代をしました。
井口に代わってからはタイヤはきれいですから、走りは悪くありません。ただ、やはりアラートが消えない。それで5ラップ目で止まってしまったんですね。井口も『タイヤが徐々に温まり始めて、これはいけると思った時に止まってしまった』と話しています。電源の問題ですから、止まった時には無線も通じず、オンボードのモニターでしか確認できませんでした。
このトラブルを引き起こした原因は、サーキットでははっきりと分かりませんでしたが、予想している事柄はあります。マシンは間もなくチームのファクトリーに戻りますので、数日中に原因は明らかになるでしょう。4月末に行われるオートポリスでのテストには、きちんとその対策を施して臨めると思います。レースでの走りは悪くないというのが分かりましたから、大きくいじくりまわさずにトラブルは収束できると予想しています。
次戦は富士スピードウェイになりますが、現状では最高速で厳しい部分があるので、もう少しスピードが伸びるような工夫を施して臨みたいと思っています。決して苦手なコースではありませんから、自信を持っていきたいですね。今回のレースでは取れるはずのポイントを逃してしまったので、次は優勝を目指します。テストを経てさらにスピードを磨いて参りますので、応援よろしくお願いします。