2戦連続でのリタイアとなってしまいました。やはりすべては総監督である私の責任と捉えています。それはこの最終戦に限らず、2017年シーズン全体を通して、問題がたくさん出た。色々足りないところだらけですが、もう少し気を配っていればと思うことも多かったですね。結局、今回のブレーキトラブルはレースウイークを通して解消することができませんでした。
実は、前戦のタイでリタイアした際にアクシデントがありました。回収されてきたSUBARU BRZ GT300を、オフィシャルがローダーから下ろす時にウインチが壊れてしまい、50cmほどの高さからドスンと落ちてしまったのです。フロアは変形してしまっていましたが、クルマがガレージに戻ってきてから、R&D SPORTのスタッフたちが休日返上で直してくれました。エンジンも載せ換え、限られた時間のなかでできることはすべてやってくれています。ただ、すべてをバラバラに分解して点検する時間まではなかった。そういった事故の後遺症が、今回のトラブルの原因のひとつとなっている可能性もあるかもしれません。もちろん原因はまったく別のところにあるのかもしれませんが、そこまで含めて検証が必要だったと思います。
SUBARU BRZ GT300の真価
今回のレースでは、ブレーキの調子が悪かったにもかかわらず、周囲と同じペースで走ることができました。その点においては、ひとつの実績と言えるかもしれません。完調であれば速さは見せられたはず。だからこそ余計に悔しさが残りますね。決勝レースに向けて、ブレーキローターとパッドを新品にし、キャリパーもこれまで使っていた予備のものに交換している。それで多少は良くなっていたはずですが、症状はまったく改善しませんでした。それをドライバーのウデで騙し騙し走ったのが実情です。フロントのブレーキの利きが悪くて、リヤタイヤがロックしてしまう。ドライバーふたりもなんとか走り続けようとしていたのですが、とても攻めた走りができる状況ではありませんでしたし、ふたりに怖い思いをさせてしまったのは申し訳ないことをしたと思っています。これらの責任は自分にあり、1年間を通じて色々なことを采配してきて、そのなかでの出来事ですから。私とSTIの責任であるということです。
今シーズンは、トランスアクスル化したことに起因するトラブルが開幕前からずっと続いていました。それが鈴鹿でようやく少し走れるようになった。タイではサスペンションのセットアップもいいところが見つかって、トータルの真価を試すのが今回だったのですが、結果を出すことができませんでした。
来季に向けての手応えは感じられました
厳しい1年でした。ただ、来シーズンに向けたベースとなる部分はそこそこできたので、クルマとして速くなっているという手応えはあります。それに、今年はメカニックたちのタイヤ交換スピードも速くなりました。目標として設定したタイムを、すべてのピット作業で上まわることができ、十分な成果は挙げたのではないかなと思います。リヤタイヤ2本のみの交換でも走ることのできるクルマにはなりましたし、進化はそれなりにしたのではないかと思っています。この延長で、確実にチャンピオンを狙いにいきます。
SUBARUファンの皆様あってのレースなのですが、なかなかご声援に応えることができませんでした。それが一番堪えますね。何度も言いますが、チームやドライバーが悔しがるより、ファンの皆様の方がもっと悔しいはずですから。サーキットから帰る時に、SUBARUのチームウェアを脱いで帰りたいだろうなと思います。それでも着てくださっている。そしてサーキットで応援してくださっているのはありがたいと思います。来シーズンも引き続き変わらぬご声援を頂ければと思います。