
前回の富士はエンジンが壊れて残念な結果になりました。富士のレースは通常の300kmより長い500kmレースということで、ピット作業の回数も2回だったわけです。SUBARU BRZ GT300は高回転型の高ブースト型の2リットルターボエンジンということで、ライバル勢と比べても燃費が良くありません。それで必然的にピット作業時の給油時間が長くなってしまいます。2回のピット作業でロスする時間も増えるため、これは何とか燃費を良くする方法はないのかとエンジニアが考えてくれたのが空燃費を少し薄めにするということでした。エンジンパワーが落ちない程度で少しでも燃費を稼ぎたいということで、それを織り込んだのですが予想以上にピストンへのダメージが大きかったようです。結果的にピストンから壊れてしまいました。

対策としては、まず燃調(燃料調節)を元に戻すことでエンジンを守ろうということにしました。今回の鈴鹿はピット作業が1回なので、燃費を気にするよりは逆に若干濃いめにしながらエンジンを守りつつ、パワーも維持するという仕様にしました。BRZはもともと鈴鹿を得意としています。鈴鹿はコーナリングがメインのコースなので、低重心の水平対向エンジンを搭載し、クルマ全体も低いのでマッチングが良いのだと理解しています。
いやしかし今回は特に後半のバトルにはしびれました。私がもしひとりのレースファンであったら、「こんなに面白いレースはない!」と思ったことでしょうが、やはり現場にいると自ずと力が入り自分たちがドライバーと一緒に戦っている気持ちになりましたし、祈るような気持ちでした。それにピットの前にはファンシートがあり、大勢のファンのものすごい声がしていたようです。

というのも、私はヘッドセットを装着してレースに集中していることもあり、ファンの方々の声は耳に入らなかったのですが、すごかったようですね。ファンシートには私たちの1台のマシンを応援しようと1,000人を超える方々に来ていただいたようです。そんなファンの方々に良い内容と結果のレースをお見せすることができましたし、そういう意味でもすごく良かったのかなと思います。

次のタイでは、クルマを輸送するまでの時間があまりありません。気温の高いところへ行くわけですから、熱害対策をメインに信頼性を上げていくようなことを最低限やっていく予定です。あと仕様に関しては今回のデータを見ながら考えますが、富士&鈴鹿仕様から大きく変えることはないと思います。
チームの雰囲気も富士で予選2位を取った時のように良い状態が戻ってきました。ドライバー、メカニックをを含めスタッフが本当に自分たちの仕事をきっちりやってくれた結果ですし、価値ある3位だと思います。これを足がかりにステップアップしていきたいですね!