今回のレースは(タイヤが路面のタイヤラバー片を拾ってしまい、タイヤ本来の性能を発揮できない現象である)“ピックアップ”に悩まされるレースになり、予選4番手から15位という結果に終わりました。ピックアップというのは振動が支配的なものなのかなと思っていましたが、そうではありませんでした。タイヤにラバー片がつくとそこだけしか接地しなくなって、ムービングというグニャグニャした感じで次にグッと荷重を掛けていてもうまく止まらなくなってしまいます。それでコーナリングスピードも上がらなかったし、前のクルマにくっついて抜けなかったことでさらにラバー片を拾ってしまったところが、順位を落としていった要因のひとつではないかと推測しています。
対策としては、ラバー片がつきにくいタイヤを作ってくださいとお願いするしかありません。ピックアップについてはこんなにひどくなるとは予測していませんでした。ドライバーもエンジンについては問題なかったと言っていますし、ブレーキ時の安定性はピックアップとタイヤの摩耗の関係から厳しくなるのは分かっていましたから、ピックアップが厳しい状態になってしまったのが大きな要因だったと思います。
あとはピットの給油時間が長いのが厳しいです。小排気量エンジンに高いブースト圧を掛けて戦わざるを得ません。タイヤ無交換と4本交換のタイム差ぐらいあるわけです。ですから我々はその分のマージンを稼がなければならないということです。ですから勝ち方がもうポール・トゥ・ウィンしかありません。前をFIA GT3車両に塞がれてしまうと、自分たちのペースで走れなくなってしまいますから。その繰り返しなのでいくら頑張ってもかわせないです。
今回の残念な結果は、予選中のエンジントラブルからつながるものでした。トラブルが出た際には、だいたい優先順位をつけて何からチェックしていくか、電気系、点火系、燃料系とか見ていくんですけど、一番怪しくないところに問題がありました。それで排気系に原因があるのが分かるまでに時間を要してしまいました。そんな経験はありませんでしたから、結果的に1時間45分という公式練習の時間をムダにしてしまった。それをきちんと走っていれば、予選4番手よりももっとポールに近い場所にいけたでしょうし、決勝レースの戦略や展開も変わって来たと思います。8月のタイヤテストに来ていたからセッティングのデータはあったし、ドライバーも頑張ってくれたのですが、ポール・トゥ・ウィンに近い戦略が採れなかったことが敗因です。
次のもてぎはピックアップの心配はないのですが、ストップ&ゴーのサーキットなのでブレーキに負担が掛かります。去年のブレーキよりも大型のものにして冷却も向上させて大分温度も下がったので、先日のGT合同テストでもその性能は確認できています。その辺の感触は良いと思っています。ドライバーにはコーナー立ち上がりからの加速をどうにかしてくれと言われていますが、これが精一杯なのでその中で目一杯戦うしかありません。最も苦手としているコースですが、結果を残して来年につなげていきたいです。頑張ります。