SUPER GT

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2019.09.06

「パワーユニットへのリソース配分を高めます」

2019年4月1日にスバルテクニカインターナショナル株式会社(STI)の社長に就任したばかりの平岡社長は、パワーユニット専門技術者出身だ。SUBARU本体で、EJ型BOXERエンジンの開発・育成に尽力したひとりだ。モータースポーツを専門とするSTIでもパワーユニットの存在感を強化したいと思っているはずだ。SUPER GT第5戦富士500マイルレースの最中に、平岡社長に話を聞いた。 
「1982年に富士重工業(現在のSUBARU)に入社して以降ほとんどエンジン設計に携わっていました。その間では3年間北米に駐在したり2年間商品開発に携わり、2003年から2008年までエンジン設計部長を務めました。手がけたエンジンは、入社した時がEA型、その後EJ型で、そこから20年近く北米用エンジンをやっていました。エンジン屋出身でSTI社長になったのは私で三人目。山田(剛生=2代目)、工藤(一郎=4代目)、そして私なんです。ふたりともEJ型エンジンの生みの親。パワーユニットに力を入れたいという思いは彼らと一緒だと思います。
もともとSTIの存在する意義というか最上位にある目的というのは、SUBARUのブランドをいかにしてSTIの活動を通じて引き上げていくかということで、その柱のひとつがモータースポーツ。皆さんに応援していただき、その中できちんと喜んでいただけるような結果を出すということが必要です。私は特にパワーユニット屋なのでパワーユニットをもっと強化したいし「SUBARUのエンジンは良いよね」と言われるようにしたいという気持ちは強くあります。
その手段としてSUPER GT、ニュルブルクリンク24時間という二本柱がありますが、目的を達成するということにかなうのであれば、他の手段もあると思います。ただ他の手段として何か具体的に考えているというのはありません。現場へ来るとファンの熱意というものを実際に感じますから、それに応えたい。表彰台に上る回数も増やさないといけませんね。
今年のニュルブルクリンクについては、これまでの課題だった部分を愚直につぶしてそれを全部クリアしたということは事前から聞いていましたので、そういう意味では安心はしていました。しかしモータースポーツはもらい事故など何があるか分かりませんが、結果的にはレースは最後まで安心して見ていることができました。一昨年、去年の反省もあるので、今年は残った課題を全部潰しこんでという心構えで臨みました。私が就任した時にはそのプランはすべて完了していましたが、結果が出てホッとしました。
ただSUPER GTの方はあまり調子が良くないので、こちらも課題をひとつひとつ潰しこんでいるのですが、まだ信頼性や戦闘力もやれることを全部やったという状態にはなっていないと思うので、こちらはもっとテコ入れしないといけません。具体的に何をやろうということは決めていませんが、信頼性を中心にマシントラブルでリタイアするようなことは避けなければいけないし、戦闘力もまだ上げていかなければならないと思います。組織的にも技術的にもまだ足りていない部分もあるので、もう少しリソースをかけなければいけないでしょうね。特にパワーユニットにはリソースをかける必要があるのかなと思っています。そこはもうちょっと時間がかかるかもしれませんが、ファンの皆さまの期待に応えられるように頑張ります。
モータースポーツの現場に来たのは現職になって初めてです。実はSUBARUを卒業して現職に就くまで2年間ほど、車体の板金プレス部品を作る会社にいたんですが、やはり開発の現場に戻って来れたというのは、素直にうれしいですし楽しいです。

コンプリートカーはS208のように瞬間的に売れてしまうという現象もありますし、乗っているお客さまからは熱い応援もいただいていますし、これからもやっていかないといけないなと思っています。そういう意味でもパワーユニット屋としてはもうちょっと出力アップなど、エンジンとしてのカラーを出していきたいなという個人的な思いはあります。エンジンを量産とガラッと変えることは開発工数など結構時間がかかりますから、今まではなかなかエンジンには手を入れられなかったのですが、これからはそっちにも手を出していきたいなという気持ちはあります。
パーツに関してもニュルブルクリンクで開発してコンプリートカーに装着したものや、量産車に応用していったものもたくさんあります。そこはもっとアピールして認知度を上げる必要があるでしょう。パワーユニットに関してもニュルブルクリンクで使ったパーツを市販車にも展開していきたいですね。お客さまは多分、ボディ部品だけでなくパワーユニット部品のフィードバックにも期待されているでしょうから、そこは何とか少しずつ応えていけたらいいなと思います」。
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