
3月16日(土)・17日(日)、岡山国際サーキットにてSUPER GT公式テストが開催され、4月第2週末に当地で行われる今シーズン開幕戦に向け、SUBARU BRZ GT300もスタートを切りました。

チームは、この公式テストの前にも特別スポーツ走行に参加し岡山でも走行しているBRZ GT300ですが、GT500全車、主要なGT300ライバル25台が揃った中での混走テストは今回が今年初となりました。また、今シーズンから採用されることになったカーボンニュートラル燃料(CNF)を使ったテストも初です。STIのエンジン担当者によると、「今シーズンの燃料は以前テストしたものとは異なり、サプライヤーさんがGT300用にチューニングされたものです。以前の燃料ではエンジンオイル希釈などの副作用があり、私たちも対策を考えてきましたが、今回のテストでは以前のような状況にはなっていません。特に問題ないと思います」と語っています。

初日の16日は、午前中に3時間のフリープラクティスがあり、午後は新しいフォーマットによる模擬予選が行われました。フリープラクティスでは、新たに形状を変更したフロントフェンダーを装着して走行しました。主に走行中のフェンダー内に溜まる空気を効率的に排出し、フロントのダウンフォースを増加させるのが目的です。本年仕様のダンロップタイヤを装着し、山内がフィーリングを確認しながらセットアップを進めていきます。その後、井口に交代し、ふたり合わせておよそ2時間半をフルに走行しました。その後、見慣れない若いドライバーがBRZ GT300に乗り込みました。彼の名は、奥本隼士(おくもと・しゅんじ)。F4やGR86/BRZレース、スーパー耐久レースなどの経験がある24歳の若手です。今回SUBARU BRZ R&D SPORTのオーディションドライバーとして登録され、SUPER GTのルーキーテストを受けることになったのです。ドライコンディションの中、コースインしていった奥本は、数周慎重に慣熟走行したのち、他のGT300車両について周回を重ねました。車速の速いGT500車両との遭遇に対しても慌てることなく無事にテスト走行を終え、ルーキーテストはクリアしました。本人は、「このたび縁があって憧れのBRZ GT300に乗せていただけることになり、とても感激しています。今日のテストは非常に緊張しましたが、先輩ドライバーお二人やチームの皆さんに親切にしていただいたので、なんとか無事に(ピットに)戻ってこられてホッとしています。終わってみれば、とっても楽しかったです」と語っています。

午後は本年の新フォーマットによるシミュレーションを目的とした模擬予選が行われました。今シーズンからタイヤ1セットで予選の2セッションを走り、そのタイヤで決勝をスタートすることになっており、Q1ドライバーとQ2ドライバーの合算タイムでスターティンググリッドが決まります。これまではQ1ドライバーがQ2進出を果たし、タイムアタック担当ドライバーが、一発のベストタイムを出すことに集中できましたが、新フォーマットでは二人で同じようにタイムを削る必要があります。ドライバー二人が走りやすいセッティングに仕上げなければならず、タイヤの使い方にもこれまでとは異なる配慮が必要です。このセッションは、Q1を走った山内英輝が17番手タイムとなり、Q2を担当した井口卓人との合算ではふたつポジションを上げ、15位となりました。

テスト二日目は、気温が20度近くとなった前日のポカポカ陽気とは異なり、曇りがちでやや気温が下がった中で行われました。BRZ GT300は、コースコンディションが悪くなった場合を想定したセットアップの組み合わせを試していました。初日午後は予想以上にコースコンディションが悪化した中での模擬予選だったからです。新燃料対応でオーバーフローした油分を含むブローバイガスによる影響と考えられます。3時間のセッションが2時間経過した11時過ぎに雨が降りだし、各チームは様子見のため走行を中断しました。その後雨の中で決勝レースを想定したスタート練習と2時間のフリープラクティスが行われ、二日間のテストは終了しました。
STIの小澤正弘総監督は、「今回のテストは、まさしく開幕戦に向けたセットアップが目的です。あとは、新しいCNF燃料の確認ですね。これまでも岡山ではテストしているのですが、新燃料が供給された今回はマシンから漏れ出るブローバイガスの影響で路面が滑りやすくなっているようです。グリップが少し下がった路面でのセットアップも追加して行いました。うちのクルマに関して言えば、オイルサーモスタットを装着したことで油温管理が機能しており、オイルの希釈がそれほど増えている様子はないですね。

昨今SUPER GTでもドライバーの体調不調で決勝途中でリタイヤせざるを得ない例があり、我がチームにも起こりうることなので、リザーブドライバーの必要性を感じていました。様々な出会いがある中で奥本くんと知り合うこととなり、彼のような若いドライバーをリザーブに置いて、しっかり時間をかけながらレギュラードライバーに近いタイムが出せるようになればよいかなと考えています。今シーズンは彼を毎レース帯同させるつもりです。昨日のルーキーテストもそつなく走れていましたし、GTAからもルーキーテスト合格の通知をいただいています。彼の将来にとって有意義でしょうし、我々にも良い刺激になると思います。
新ししい予選フォーマットですが、見どころが増える感じで私は面白いと思います。これまでQ1ドライバーは、Q2に進出することが目的なので、通過するとわかったらピットに戻ったりしていましたが、新しいシステムだとふたりともしっかりタイムを出しておかないと結果が残せなくなるので、戦略が変わり緊張感も増しますが、面白くなりそうですね」、と語っています。
来週3月23日(土)〜24日(日)に富士スピードウェイにて同様にSUPER GT公式テストが行われます。